スキル習得に伴走して、内定辞退を防ぐ

2023.05.31

 

深刻な人手不足のなかの新卒採用で、採用担当者が一番気をもむのは内定辞退ではないでしょうか。その対策として、採用活動の早い段階から学生のスキル習得意向に寄り添って伴走する企業が増えています。

新卒の仕事内容が早めに決まる傾向や、それに伴うスキル習得支援について最新動向を纏めました。

 

 

1. 学生の就職への不安とは?

売り手市場とは言え、学生は就職について様々な不安を持っています。キャリア教育や就職活動を通して、これからは年収とスキルがより連動する世の中になり、継続的なスキルの習得が必要だと肌で感じています。一企業内でローテーションに従いジェネラリストとしてのキャリアを何十年歩むというイメージは薄れていますが、一方で企業には成長性、安定性、働きやすさや、スキル習得、キャリアのチャレンジ機会を期待しています。

内定をもらったあと、学生が本当にこの会社でよかったのかと不安になる一因も、ここにあります。自分がやりたこととのミスマッチがあったらどうしよう、何年か勤めたあと、この会社以外でも通用するようなスキルが身につくだろうか、などの思いが頭を過ります。

つまり入社後の仕事をより短期で考える結果、配属ガチャにも敏感になるわけです。

 

 

2.  6割の企業が職種別採用を導入

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配属ガチャのリスクを減らす対策が、ジョブ型制度や職種別採用です。ある調査によると、新卒採用からこれらの制度を導入している企業は6割にものぼります。そして大手企業・人気企業ほどこの傾向は強いようです。

またジョブ型や職種別採用ではない、総合職型採用の場合でも、職種を決める時期が早まっていて、直近の調査では、5割以上の企業が入社前に、7割が入社時には新卒の配属職種を決定しています。

学業優先でありますが、内定者アルバイトや本格的なインターンの機会の提供で、入社後の仕事のイメージを膨らませていく制度を設けている企業もでてきました。

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3. 成長支援のメッセージをしっかり伝える

そうなると、入社後に備えて、仕事に必要なスキルの習得を開始する時期も早まります。採用企業側が、内定段階あるいはそれ以前から学生の意向をきいて、スキルアップの機会を提供することは、仕事に備えた準備ができているという学生の自信となり、企業にとって内定防止策にもなります。

個人がキャリアオーナーシップを持つ現代、内定者研修では、企業が学生にキャリアの伴走者であるというメッセージをしっかり丁寧に伝えることが大事です。結果が配属や評価に影響するのでは、という懸念を与えないように気をつけなければいけません。今はできなくてもいから、ポテンシャルを伸ばせば大丈夫というメッセージです。

 

 

4. 想いと実力のギャップに気づくのが学習の第一歩

希望した仕事をやりたい想いが強い反面、具体的な職場のイメージや必要な実力とのギャップが大きいのが新卒です。
たとえば、就職先企業のグローバル事業強化やインバウンド需要拡大で、いずれ自分も海外と何らかのつながりが出てくるだろうと考える学生は増えています。


先日、とある企業の新入社員研修で、グローバル拠点からの来訪者を受け入れるというケーススタディをやったときの話です。参加者の皆さんはとても熱心で、ESG、サステナビリティや多様性を視野にいれた深く鋭い意見がぽんぽん出てきて、たいしたものだと感心しました。

一方、それをどう伝えるかになると、壁があることに気づきます。グループディスカッションで、どんなシーンでどんな風に伝えたらよいかというところで、詰まってしまいました。課題は異文化対応と語学力です。

実は、この研修の前には、全員でTOEIC®LRのテストを受けたとのことですが、「全然できなかったー」「最後は鉛筆をころがしました」とのこと。リスニングとリーディングについてそうなのですから、ビジネスで話すとなるとさらにハードルは上がります。

想いは強いけれど、スキルが伴っていない。これに気づくのが学習の第一歩です。

 

 

5. グローバルな仕事の解像度を上げる

色々な調査で、社会人になる前に勉強しておけばよかったスキルの上位にくるのが、英語力です。就職活動でTOEIC®LRのスコアを持っている人は多いですが、それだけでは十分でなく、実際にグローバルな仕事をするときは、コミュニケーションの4技能、とくにスピーキング力がものを言います。

グローバル業務とは、どんな仕事があり、どんなスキルがどのレベルまで必要か、そのスキルがあるとどんなメリットがあるのか。こうした情報を早めにインプットし、早い段階から解像度を上げる。そしてそのための研修機会を提供すれば、新卒が熱い想いをキャリアにつなげる道筋ができます。

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