歴史ある会社だからこそ、未来も長期スパンで考えられる
プロゴス社:貴社はここ数年だけでも、シンガポール、インドネシア、台湾などにおいてモニュメンタルな海外プロジェクトを手がけられておられますが、今後どのようなグローバル展開を考えていらっしゃるのでしょうか?
上原様:私たちは200年余の歴史をもつ会社ですが、「子どもたちに誇れるしごとを。」をコーポレートメッセージとし、誠実に責任感をもって次の世代に財産を残していく仕事をしたいと考えています。海外では、これまで世界60か国以上で、建設事業に加え、不動産開発事業、エンジニアリング、環境系のグリーンエネルギー事業など幅広い事業を展開してきました。
こうした実績のもと長期ビジョン「SHIMIZ VISION 2030」を掲げ、スマートイノベーションカンパニーとして、建設事業の枠を超えた自己変革と挑戦、共創を通じて、新しい価値を創造していく会社を目指しています。海外に着目しますと、2030年度までに海外での連結売上利益比率を全体の25%にまで伸ばす目標を立てています。これは計画策定時2018年度の5%からしても、かなり大幅な引き上げです。
SHIMZ VISION 2030(長期ビジョン)
事業部門と人事の連携による「いつでも人財を配置できる体制」づくり
上原様:この過程で人事部が担うのはグローバル人財の確保と育成です。人事部内に海外人財グループを立ち上げ、実際に海外で事業展開するグローバル事業本部と人事部の連携をより強めました。
プロゴス社:かなりしっかりと、事業部門と一体化する枠組みを作っていらっしゃるのですね。
上原様:事業部門とは密に連携して、どんな人がいつ何人必要になるかということを把握していく必要があります。私たち建設業は、海外に固定の生産拠点をもって安定的に人を配置する事業とは違い、受注するプロジェクト量によって配置人数が変動します。案件をとるのとそのプロジェクトを推進する人の配置の、タイミングをあわせるのがなかなか難しいのですが、事業成長のためには、柔軟な体制を組む必要があり、そのためにも海外で活躍できる人財の確保と育成が欠かせません。
「温故創新」スマートイノベーションをけん引する人財を創り出す
プロゴス社:一方、長期経営計画では非建設事業の割合を35%に増やすことも目標とされています。これについては、今までとは違う人財戦略をとっていらっしゃるのでしょうか?
上原様:はい、それらの事業にも積極的に取り組んでいく意味合いを込めて、中期経営計画に沿う形で、人財開発方針を「挑戦し共創する多様な人財を育成する」と定めました。これは、見えていない課題を発見し、組織や会社の枠を超えた様々な人たちと一緒になって、前例のないことに挑戦するという人財像です。海外で活躍する人財にも、もちろん同じことが言えます。
プロゴス社:そのための施策としてどんなことをなさっていますか?
上原様:実は、昨年「温故創新の森 NOVARE」という施設をオープンさせ、共創の拠点として、社内外や国内外の人たちが集って新たなイノベーションを創出する場となることを目指しています。そこでは、著名人を招いて話を聞いたり、実践的な人財開発プログラムを実施したりしています。
(温故創新の森NOVARE)
(江東区指定有形文化財「旧渋沢家住宅」)
プロゴス社:これは広大な施設で、いろいろなことができそうですね!この日本家屋は?
島田様:明治期に相談役を務めた渋沢栄一氏の住宅「旧渋沢邸」です。NOVAREは「温故創新」という言葉に込められているように、歴史の中で受け継がれてきたDNAを守り、育み、未来に向けた創新を生む場となっています。
グローバルな規模で、挑戦し共創するために必要なスキルとは
プロゴス社:国内外を問わず「挑戦し共創する多様な人財」の育成をめざしていらっしゃることがよくわかりました。それでは、そのような人財がグローバルな場で力を発揮するには、どんなスキルが必要になりますか?
島田様:求められる英語レベルは地域によって違いますが、仕事でコミュニケーションを取るために会話力は共通に必要と考えています。たとえば建設現場ではメールでなく、その場で英語を使って的確な指示を出さねばならないという状況があります。海外事業に憧れて入社する人もいて、英会話力向上・維持への意識は高いですね。
こうした背景もあって、レアジョブ英会話のレッスンは多くの人が熱心に継続して受けています。英語力をあげたい人ばかりでなく、海外赴任中でも続ける人や、帰国してからも次の海外勤務に備えた英語力キープのために受けている人もいます。PROGOSテストも受けて自分の目標設定や実力チェックに活用しています。
上原様:それに加えて、教育の観点では、語学力の前段階として、異なる文化を許容することと、海外への抵抗感を無くすマインドセットが大事だと思いますね。そういう適性を総合的に見て、若いころから海外に送り出しているのですが、結構たくましくなって帰ってきますよ。日本より高いポジションでマネジメントを任される場合もあって、努力して、視座が高くなり成長するのでしょうね。若いうちに国内外バランスよく経験し、将来的にはプロジェクトマネジャーになっていってほしいので、グローバル事業本部のなかでもキャリアの積み上げに沿った育成体系を考えています。
自ら学ぶ挑戦者を増やしたい
プロゴス社:今後の貴社のグローバル人財育成について、どんな展望をもっていらっしゃいますか?
上原様:これから更にグローバルを見据えた事業展開が必要となってきますので、「挑戦し共創する」人財として自律的にキャリアを形成してほしいと思っています。そのためには、自ら学ぶ自主的な姿勢が必要です。研修についても、受け身ではなく、自分の成長のために何が足りずに何を学ぶべきかを考え、選びとってほしいと思っています。こうした方針を今後は大切にしていきたいですね。
島田様:レアジョブ英会話はその好例です。自ら手をあげて自分で申し込んで、枠を得る形式にしているので、もし継続要件を満たせなければ、学ぶ機会を失います。多くの受講者が積極的に活用してくれていて、かなり高い継続率を保っており、英語学習への意欲の高さを実感しています。英会話レッスンは、自分のキャリア目標を実現するための学びとしてもわかりやすく、皆さん手ごたえを感じているようです。
現場の人など忙しくてなかなか学びの時間がとれないという課題もありますが、今後も自律的な学び施策の整備を通じて、全社的に自律的な学びを広げていきたいと考えています。
プロゴス社:まだ見ぬ価値を創り出す挑戦者の精神が連綿と受け継がれているご様子と、未来にむけてありたい姿を実現するための人財育成がよくわかるお話しでした。ぜひ、NOVAREにもお邪魔してみたいです。ありがとうございました。