グループシナジー創出と持続的成長のために、言語の壁を乗り越える

アサヒグループジャパン株式会社

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ビールを中心とした酒類、飲料、食品で多様なブランドを世界で展開するリーディングカンパニー、アサヒグループは、ホールディングス傘下に、事業を東アジア、欧州、オセアニアの3つ地域に分けて、リージョナルヘッドクォーターを置いている。

今回は、日本も含めた東アジアを統括することになったアサヒグループジャパン(AGJ)の人財育成についてお話をお伺いしました。

お話をうかがった方

People&Culture本部 タレント開発部 Learning & Developmentチーム(企画時当時)
川合勇紀様

目的

  • 組織再編で英語によるリージョン内連携が必須に
  • AGJとして英語を使ってビジネスをする人財の増強

アプローチ

  • 全社員に対して、PROGOSでスピーキング力可視化の機会を提供
  • B1 Highのレベル保持者を増やすことを目標とする
  • 公募型でインテンシブな英語研修を実施(2025年4月~インタビュー実施時)

成果

  • 英語に対する心理的ハードルの低減
  • 英語を学ぶ意義やその先のビジネス視点への意識向上

グローバル化に進展に伴うグループ組織再編

プロゴス社:貴グループでは、ホールディングスを中心にグローバルな組織人員体制の変革が進んでいると伺います。これは、事業会社である貴社にどんな影響があるのでしょうか?

川合様:AGJにも確実にグローバル化の波が来ています。当グループは右肩上がりの成長を続けていますが、すでに数年前から、海外部門が売上収益、利益の半数以上を占めるようになりました。それに伴い、さらに進化した組織再編が進んでいます。

従来は、海外でも地域ごとに収益基盤を作り、新規事業等への投資の原資をリージョン内で稼いできました。しかし、これからは横と横のつながりによるシナジーで、価値を作っていく組織体制に移行します。例えば、R&Dはこれまで各リージョンで別々でしたが、今ホールディングスにR&D担当役員がおかれ、グローバルに統括しています。また昨年から世界のリージョンが4つから3つに再編されて、日本と韓国、中国、香港が東アジアという地域でひとつのリージョンとなりました。

事業会社としての英語力育成の仕組みを構築

プロゴス社:日本企業のグローバル化のなかでも、かなり先進的で大胆な取り組みだとお見受けします。AGJとしては、その過程でどんな変化が起きているのでしょうか?


川合様:ビール、飲料、食のどれでもシナジーを創るには、結局リージョンを通すことになります。そうなると、リージョン間でAGJだけが、またリージョン内でも日本だけが、「英語でなく日本語で」とは、もう言っていられなくなります。また国を越えて活躍することができないと、日本人自身のキャリアの幅も狭まってしまいます。

ホールディングスは仕事で英語を使う状況が進んでいるのですが、AGJのほうでは今までそれほど英語が必要ではありませんでした。だから、組織再編があったとき、ビジネスリーダーとして英語を駆使できる人が非常に少なかったのです。英語力向上策も、特にしてはいなかったのですが、さすがに危機感が募り、支援策を取ろうということになりました。

そこで、貴社にも相談して、国際基準であるCEFRのレベルを参考に研修を設計しました。英語でリーダーシップを発揮するには、スピーキングでB2レベル以上の力を持つべきだと認識していますが、まずはB1Highを持つ人を増やすことに取り組んでいます。

個人的には英語ができる人を戦略的に増やすには、選択と集中が大事だと思っています。まずPROGOSテストを受験する機会を全員に提供し、英語スピーキング力を可視化することで、意識を高めてもらいました。そのうえで、インテンシブな集中プログラムを用意し、コミットして厳しくてもやり切りますという人を公募で募りました。その結果、概ねほとんどの人がしかるべき学習計画をクリアしているので、公募というやり方でよかったと思います。

全社PROGOS受験とインテンシブ研修で起こった変化

プロゴス社:ゼロからのスタートなのに、研修実施まで実にスピーディーに動かれましたね。全社にPROGOSの受験機会があったこと、手上げ方式でインテンシブプログラムを募集されたことで、どんな変化がありましたか?


川合様:研修を受けた成果としては、英語を話すことに抵抗感がなくなった、視野が広がって語学の先に何が必要かを考えるようになったという声を聴きます。イノベーター理論ではありませんが、新しいことへの感度や意識が高い人から始まって、だんだんと自発的に英語を学習する波が広がっていけばよいなと考えています。

実際に英語を仕事で使っているのはまだ限られた部署だけですが、東アジアというリージョンに再編されたこともあり、今後使う機会が増えていくと思います。

独自のリーダーシップ定義に基づく人財開発

プロゴス社:語学の先にというお話がありましたが、英語だけでなく、グローバルに活躍する人財の定義などは定めていらっしゃいますか?

川合様:各リージョンのメンバーも含めグループとして、GLCM(グローバルリーダーシップコンピテンシーモデル)という、すぐれたリーダーシップの要件を2年かけて作りました。そこでは、リーダーシップの6つの要素を定め、階層ごとに期待される行動例が示しています。今後はこのモデルに基づいた人財開発をしていきますが、その中で、コラボレーションしたり、学び合うときには、当然英語が必要になります。

どういう企業風土をつくっていきたいかは、ピープルステートメントとして、社員とは、会社と個人の成長が両立することを約束しており、それが持続的成長や社会的な貢献につながると考えています。皆で連携しコラボしていくことで高い目標を目指して頑張っていき、それを達成したら喜びを分かち合う、そんな企業風土です。

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コンフォートゾーンから飛び出すマインドを

プロゴス社:そのようなリーダーにはどんなマインドが必要でしょうか?

 

川合様:現状は、日本からグローバルに羽ばたいていく人財には一定の語学力を求められ、英語ができないと機会は狭まります。では英語だけできえればいいのかというと、そういう話でもありません。大切なことは英語に対する心理的ハードルを打ち破ることだと思います。

つたない英語でもなんでもコミュニケーションをとろうとする姿勢をもち、オープンマインドで、多様な意見を受け入れ、かつ自分の意見を発信する。コンフォートゾーンを抜け出して、グローバルに身を置いてみる。そんな姿勢がグローバル人財には必要だと思います。特に将来、経営層候補を目指すなら、異文化に飛び込んで仕事をする体験を積極的にしてほしいと思います。リージョン体制が変わり、韓国、中国、香港がはいってくるので、これからはそういう機会も増えてくると思います。

 

プロゴス社:今後のグループのグローバル戦略の一環として、事業会社としてしっかりと人財育成にとりくまれているのですね。貴重なお話をありがとうございました。

アサヒグループジャパン株式会社
アサヒグループジャパン株式会社

https://www.asahigroup-japan.co.jp/

アサヒグループの中核企業かつ東アジア統括会社として、日本・中国・韓国・台湾およびミクロネシアの事業を一体運営。
ビール・飲料・食品を展開し、地域横断の戦略・人財・ブランド活用を推進。
グローバル市場での競争力強化と持続可能な価値創出を目指している。

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