コラム | 株式会社プロゴス

【セミナーレポート】前編:なぜ日本でグローバルリーダーが育たないのか?ポストコロナ時代のスキル要件とは?

作成者: レアジョブ広報担当|Oct 18, 2021 1:33:36 AM

 

企業のグローバル展開にあわせ、次世代リーダーの育成に取り組まれるなかで、

以下のような課題をお持ちの企業様も多いのではないでしょうか。

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・グローバルリーダーの定義、スキル要件が曖昧である

・人材育成戦略が体系化されていない

・そもそもスキルが把握できていない

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ポストコロナ時代のグローバルリーダーのスキル要件が変化していく中で、どのように人材育成をしていくべきなのか。

 

当社では7月30日に「なぜ日本でグローバルリーダーが育たないのか?ポストコロナ時代のスキル要件とは?」と題したセミナーを開催し、以下3名に登壇いただきポストコロナ時代のグローバルリーダー像とその育成について考察いただきました。

 

【第1部】変革をもたらすグローバルリーダーの要件とは~ワンシーンごとのビジネスの神髄~

<登壇者> ネクストチャプター株式会社 代表取締役社長 大西 基文 氏

【第2部】海外でパフォーマンスを発揮するにはどんなスキルが必要か~実体験を徹底分析~

<登壇者(対談)>

・早稲田大学政治経済学術院教授・トランスナショナルHRM研究所所長 白木 三秀 氏

Envizion Philippines, Inc. CEO、Ripple Kids Educational Services, Inc. CEO、RareJob English Assessment, Inc. CEO、株式会社レアジョブ 海外戦略推進室室長 水島 俊介

 

本コラムでは第1部大西氏による講演内容をレポートさせていただきます。

※第2部は【セミナーレポート後編】をご確認くださいませ。

変革をもたらすグローバルリーダーの要件とは
~ワンシーンごとのビジネスの神髄~

 

<登壇者>


大西 基文 氏

ネクストチャプター株式会社
代表取締役社長

 

 

 

私は小・中学校を海外で過ごし、大学では体育会でアメフト部に属していました。伊藤忠商事に就職し、その後外資系企業で仕事をするようになり、今は、海外のスタートアップが日本市場でビジネスを成長させる支援をしています。振り返ると、欧米と日本の企業文化の間に居続けていると言えます。現在いくつか企業の顧問をしていますが、ヨーロッパ企業との付き合いが多く、毎日クロスボーダーの世界を体験しています。

仕事をするにあたっては、「皆同じ人間。自身の行動をお客様から逆算せよ」と考えています。例えば、豊富な品揃え、在庫が有る、安い、簡単に買える、どういう商品か説明されている。これらは、グローバルで普遍的に要求されている基本的なことだと言えます。日本人は高いレベルでお客様のことを理解できる人種なのに、なぜグローバルリーダーになれないのでしょうか?

その問いに答えるために、まず日本人の特性を考えてみましょう。

1. 同質性

他人とは違いたくないけど、若干優位には立ちたい、でも目立つのは嫌。あうんの呼吸、付和雷同、忖度など。ルールや契約に従うことより、周囲との関係性を気にする傾向があります。また流行に流されやすいですね。経済界ではいまだに男性、しかも年配が多く、先輩たちのやり方を踏襲し、高い確度で再現することにこだわります。ゆえに、グローバルにみられているダイバーシティに乏しいのではないでしょうか。

 

2. 決定の仕方

トップダウンよりも、合議主義を重んじるので、オーナーシップや責任の所在が曖昧になりがちです。コミットメント&アカウンタビリティについては欧米のほうがメリハリがついています。また、多くの重要事項が実質オフィスアワーの後の飲み会など非公式の場で決定されますが、欧米では決めるときは決める、遊ぶときは遊ぶとはっきり分けています。

 

3. 評価に対する考え方

これは日本の教育制度の影響かもしれませんが、評価については減点方式です。与えられたことを完璧にやったら100点。ゴールを達成したら満点で成績に5がつきますが、90%でも5がつくような曖昧な部分が残っています。外資系では ゴールを達成したら3.どれだけオーバーアチーブするかで評価されます。つまり、外資系ではリスクをとり、約束を果たし、オーバーアチーブすることが当たり前なのです。さらに言うと、イノベーションは5以上のものを目指さないとだめです。減点主義・完璧主義だと変化や新たな挑戦に対して消極的になり、リスクをとるチャレンジング精神が損なわれがちです。間違っていたら直せばよい、修正すればよいのです。

 

4. 価値の相互理解

いろんな人種のるつぼの中で、相手のニーズをよく理解して、違う立ち位置からの立場を理解して、お互いにハッピーになれることを求めていくことが必要です。英語自体はツールだと思っていて、論理的思考、win-win の関係性ができることのほうが大事です。でも自分自身の言葉で説得することが相手に影響を与えますので、自分のコミュニケーション力の質を向上させるという意味では英語をしっかり身に着けるべきでしょう。国内で日本語だけで話していると、いざ海外の相手を説得するような場面では大変だと感じてしまうでしょう。


5. 信念を貫くこと

自分自身の考えをしっかり思って前に進んでいくことが大事だと思います。人に言われたからとか、本当はそうじゃないけど周囲が言うからというのはNGです。例えば日本の国のことを聞かれたときに、日本がどうなってほしいか、それにはどの党がベクトルがあっているかなどのアンテナを張っておかないと、自分の国のことを考えていないみたいに思われてしまいます。

 

6. Out of the box thinking

日本でデルのコンピューター事業をたちあげたときの話をしましょう。当時は、パソコンはお店に行ってキーボードを触って確認してから買うのが当たり前の時代で、電話でカスタマイズして一つのメーカから直接買う例などありませんでした。直販という言葉がはやり始めたころですが、パソコンをオンラインで買う人はいませんでした。このようにブラウジングやeメールが普及していない時代でも、デルコンピューターはこれに突き進みました。今でこそサーバーもオンラインで買うくらい、オンラインで買い物をしない人の方が少なくなりました。

「そんなの誰もやっていないからあり得ない」という状況でも、これと思ったことに突き進む。箱を一杯にするだけでない、箱から飛び出す発想が必要とされていると思います。

 

アマゾンが、書籍の販売方法を変え、さらに紙からデジタル書籍への舵をきり、書籍のマーケティングの常識を覆したこともOut of the box thinkingの一つです。

 

さて、以上の点を踏まえて、グローバルリーダーとして必要なスキルを考えて行きましょう。

 

ミーティングは、相手のニーズや課題や目的を明確化にして臨み、解決策を提案する場です。

プレゼンテーションは劇や映画と同じと考えたほうが良いでしょう。スライドにあることを読むのではなく、自分の言葉で自信をもってストーリーを相手に伝えていくかがポイントです。

 

ネゴシエーションは、最終的にどのようなゴールにたどり着くかを明確にして、主導権を握っていき、勝ち負けではなく交渉の結果お互いがハッピーな状況になることが肝要です。相手を全否定して自分の価値を押し付けるのでは失敗します。ファクトや事例を活用して具体的にメリットやデメリットを相互に明らかにしていくような展開が求められます。

 

このようなコミュニケーションスキルと同時に、普遍的なマネジメント力を養うことも大事です。日本の企業では、社内で生きる能力、つまり一つの会社、部署、業種のなかでのエキスパートにはなれますが、全然違う業界に飛び出して行ったときに役に立たないことが多いです。グローバルリーダーに求められるのは、どの業界でも通用する力、つまり経営として抑えるポイント(組織の作り方、人のモチベーションなど)をグローバル規模でやっていこうということです。

 

・未知のこと、新しい業界、新しい仕事のなかで、仮説を立てられる能力。

・人に頼ることなく、目標を作って、課題を見つけ、目標とずれたら軌道修正する能力。

・感情的でなく、論理的に考えていく能力。

・先方がこう出たときに、どう出るかというCritical Thinking

・回りの人たちによい影響を与えられているか?日本のよいところを伝え、食事していると楽しい人だと思ってもらえるか?

・高い目標を達成できる能力。

 

まとめて言いますと、この不確実なグローバル環境下でいかに普遍的なスキルを持って、目標を達成していく行くかが、グローバルリーダーに問われているのだと思います。

そのためのコミュニケーションツール、言語、文化を知ることが大事ですね。

 

 

※第2部セミナーレポートは【セミナーレポート後編】をご確認ください!