【セミナーレポート】2021年5月10日開催セミナー人事・事業部門の人材育成担当の方必見!社員の英語スピーキング力向上セミナー

2021.07.07

 

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、2020年以降、海外出張・海外駐在が減る半面、
ウェブ会議・電話会議が激増し、重要な商談や交渉も、オンラインでやらざるを得ない状況に直面しており、多くの企業が社員の英語スピーキング力向上・強化に取り組んでいます。

一方で、スピーキングについてはまだまだ足りていない、学習してもなかなか成長を実感できていないと、頭を抱える担当者様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

2021年5月10日開催したセミナーでは、
社員が世界に通用する英語スピーキング力を習得するには何が必要か?どう伸ばしたらよいかについて、気鋭の専門家3名に登壇いただき、下記のようなポイントについて講演をいたしました。

<登壇者>
・一般財団法人実用英語推進機構 代表理事
 東進ハイスクール・東進ビジネススクール 英語科講師 安河内 哲也 氏
・キャプラン株式会社 コーポレートトレーニング講師 Geoff Pierce 氏
・株式会社プロゴス 取締役社長 安藤 益代


<ポイント>
・世界に通用する英語スピーキング力とは何か?
・自社の社員の英語スピーキング力は、グローバルビジネスに対応しうるレベルなのか?
・効果的な英語習得には何が必要か?
・英語スピーキング力は、どのように伸ばしたらよいか?
・従来の育成方法で問題ないか?

今回のセミナーレポートでは、安河内 哲也 氏、Geoff Pierce 氏2名の講演内容について

レポートさせていただきます。

世界と渡り合う英語力を身につけろ!
- カリスマ英語講師が語る社員のスピーキング力
向上策とは?

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予備校の人気英語講師として30年以上のキャリアを持つ安河内氏。

現在は言語評価の専門家が集まるアメリカのNPOで理事を務めるなど、英語教育の世界でさらに活躍の場を広げています。

 

「今は英語を使って仕事をするのが日常ですが、昔はいろいろ苦労しました」と語る安河内は、日本生まれの日本育ち。幼少期に海外で過ごすことも英会話教室に通うこともなく、高校までは地元の公立校でごく一般的な英語教育を受けていました。上智大学外国語学部英語学科入学後は、帰国子女の同級生にコンプレックスを抱き、一時は英語の勉強から逃げ出してしまったことも。そんな安河内氏が再び英語を学びたいと思うようになったのは、大学2年生のときのアメリカ旅行がきっかけだったそうです。

 

安河内氏:「アメリカに行ったら英語が話せるようになるという都市伝説を信じてアメリカに行って、別に英語がうまくなるわけでもなく帰ってきたわけですが(笑)、さまざまな国の旅行者が、決して上手とは言えない英語で楽しそうに話す様子を見て、マインドセットは大きく変わりました。私が英語の猛勉強を始めたのはそのときからです。

英語は子どもの時からやらないと間に合わないとか、英語の仕事は海外経験者に任せて、日本人社員は話すことはできないからと言う方がいますけど、そんなことはありません。何歳から始めても英語は話せるようになるし、国際会議に参加して自分の意見を言えるようになります。ただし、私が今からみなさんにお伝えするポイントを、絶対に外さないでください。」

 

安河内氏が挙げた大人の英語学習の3つのポイント

安河内氏は下記3点を英語習得の上で重要であると述べています。

1. 英語学習におけるPDCAサイクル

PDCAは最速で英語をマスターするための基本動作

安河内氏:「絶対に守っていただきたいこと、それは英語を最速でマスターする基本動作『PDCA』のサイクルに英語学習を当てはめていくことです。PDCAは、PlanDoCheckActという4つのフェーズを繰り返しながら状況の継続的な改善を目指す仮説検証サイクルです。

英語学習におけるPDCAのスタート地点はP、つまり“plan・準備。単語を覚えたり文法を勉強したり音読したりする作業は、全てこれにあたります。とても大切な作業ですが、Pだけでは話せるようになりません。なぜなら、実際に話す経験をしていないから。準備だけを何年続けても、話せるようにはならないのです。

 

D“do・試行といって、インプットしたものをアウトプットしてみることです。アウトプットを簡単に定義するならば、『目の前に人間がいて、その人間とやりとりやプレゼンをすること』。つまり、誰もいないところで音読やリピーティングをするのはインプットであり、アウトプットにはあたりません。
 

アウトプットをすれば、必ず間違えます。大切なのは、間違ったその後に自分の弱点や間違ったところを振り返ることです。これがC“check・検証のフェーズで、その間違いを修正してもう一回やってみようというのが、A、すなわち“act・実行になります。

Aの段階ではDのときよりも力は伸びていますから、次のサイクルは前回よりも少しレベルの高いインプットから始める、というのが一通りの流れ。英語学習ではこのようにインプットとアウトプットを組み合わせながらPDCAを回し続けることが大切なんです。」

 

 

2. インプットとアウトプットのバランス


繊細なインプットと大胆なアウトプットを小刻みに繰り返す

安河内氏:「これまでの説明を聞いて、みなさんはどう思われましたか?現在の研修はインプット、インプット、インプットばかりになっていませんか?日本人学習者の中にはインプットとアウトプットのバランスが悪いせいで英語が話せない人がたくさんいます。『英文法を完璧にしてから英会話を始めよう』というのは違っていると思います。インプットを終えてからアウトプットに行くのではなく、インプットしたらアウトプット、インプットしたらアウトプット。これを小刻みに繰り返すのが、英語学習のコツです。

PDCAに当てはめて言うと、例えば音読とかリスニングなどのインプットをしたら、次はそこで覚えたことをオンライン英会話でアウトプットしてみる。そして、オンライン英会話が終わったら、今度はその内容を振り返りながらもう一度インプットを行い、次のレッスンでアウトプットする、と。これを、1日単位でやっていきます。私自身、7年ほど前からオンライン英会話をやっていて、ここ5年位は毎日休まず続けています。25分のレッスンを、1日平均2回くらい。それなりに忙しい私ができるんですから、会社員のみなさんも朝ちょっと早起きすればできますよ。

安河内

 

スピーキングは即興ですから、インプットした英語よりもクオリティは下がるに決まっています。でも初めはそれでいんです。インプットは完璧な発音・文法で繊細に行い、スピーキングは間違いを恐れずガンガンいきましょう。たくさん間違って、振り返って、PDCAで直す。多分それ以外に英語が上手くなる方法はありません。」

 

話せるようになりたければスピーキングテストを学習目標にせよ

今回のウェビナーで安河内氏が強調したことの一つが「指導と評価の一体化」です。


安河内氏:「指導と評価は同じ軸で行うべきです。マークシートのテストは、リスニングやリーディング力を伸ばすテストとしてはとてもいいのですが、スピーキングの能力を測ることはできません。話せるようになってほしければスピーキングのテストをするのが当たり前。一番いいのは、スピーキングテストを学習目標そのものにしてしまうことです。

スピーキングテストも、今はいろいろな種類のものがあります。PROGOS(※1)もあるしVersantもあるしリンガスキルもTOEIC® S&Wもある。私も開発に関わったE-CATというテストもあります。ただ海外で自分の英語力を伝えたいときはCEFRという基準を使いましょう。信頼できる4技能テストでCEFRのレベルをチェックして、履歴書に『私のスピーキングはB1で、リーディングはC1です』と書けば、ヨーロッパでもアメリカでも東南アジアでも、どこでもわかってもらえます。」

 

1 PROGOS:株式会社プロゴスが提供する英語スピーキングテストです。
詳細についてはこちらからご確認ください。

 

3. 話せるようになるマインドセット

「ネイティブ」にならなくていい曖昧さを受け入れる図太さを持つ

安河内氏:「ここまで英語学習法についていろいろ話してきましたが、こういう勉強をすれば日本人でもネイティブのようになれるのかというと、答えはノーです。一部の卓越した才能がある人をのぞき、大多数の人はネイティブのように話せるようにはなりません。ビジネスで英語を使えるようになる第一歩は、この現実を受け入れることです。

その証拠に、私は英語を勉強し続けてもう35年くらい経ちますが、全然ネイティブみたいに話せません。それでも日々英語を使って仕事をしています。英語は外国語である以上、どんなに勉強しても、もやもやした部分が残るもの。そのあいまいさと共存する図太さを持つことが、外国語の上達には必要です。」

 

■今すぐ始めて5年間続ければ誰だって話せるようになる!

安河内氏:「最近よく言われるんですよ、『いいじゃない翻訳ソフトで。スマホでAIがやってくれるんだから』って。確かに翻訳ソフトの性能はめちゃくちゃ良くなっていますが、AIはいわば私たちの英語学習における電卓のような存在に過ぎません。翻訳テクノロジーは急激に発達していますが、機械翻訳された文章に対する責任はあくまで本人が負うもの。AIが訳した書類をもとに契約をかわして会社が大損害を負ったとしても、これは翻訳ソフトではなく契約をしたあなたの責任になるんです。それに、少なくとも私たちが生きている間には、聞いたり話したりのコミュニケーションに関しては、AIは発達には言語の構造上、限界があります。翻訳機を使ってタイムラグのある会話をしていたら、ビジネスに必要な人間関係だってなかなか築けませんよ。

今日、私の話を聞いて「やるぞ」と思っていただけたなら、人事研修の仕組みをすぐに変えて、それを5年間続けてください。英語ができるようになるために必要なのは、始めることと、継続すること。片言までで半年、やりとりできるようになるまでに1年。会議でやりとりできて活躍できるようになるまでに5年。長いですか? いやいや、たった5年で世界で活躍できる人材を育成できるなら、お安い御用じゃないですか!5年間毎日続ければ、絶対誰だってできるようになります」

質疑応答

<質問1>

仕事で英語を使う機会がない社員や、研修受講後に実践の場がない社員の学習モチベーションの維持はどのように行うべきでしょうか?

 

<回答>

今はオンライン英会話という革命的ツールがあるんですから、英語を使う場がないということはあり得ません。研修でもPDCAのサイクルを回して、DCのフェーズにオンライン英会話を組み込んでみましょう。そうすれば、実践の場がないことも、研修が終わったらそれで終わりとか、海外で働いていた間は英語を話していたけど日本に戻ったら忘れたなんていう問題も、すべて解決します。ぜひすぐにオンライン英会話を始めてください。

 

<質問2>

日本人がこんなにも英語に苦手意識を持つ原因は何でしょうか?

<回答>

日本人は「ネイティブみたいになろうとしている」ことがダメなんです。ネイティブのように話せるようになることは、野球の素人がメジャーリーガーになるくらい無理のある話。世界はみんな草野球の英語でやってるのに、日本人だけがメジャーリーグ級の英語じゃないと恥ずかしいと思っているんですよ。

ニュースなどで国際機関や世界的企業のトップの話す英語を聞く機会もあると思いますが、彼らの英語だって決してネイティブレベルではありません。日本人学習者は自分の英語力に対し、もっと肯定感を持つべきです。

 

会議の英語力はこう鍛える
-ディスカッションスキルチャレンジ-

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会議の英語力はこう鍛えるというテーマで英語でコミュニケーションをとることと、ビジネスパフォーマンスを広げること、そのどちらにも影響する問題点についてお伝えしたいと思います。

 

まずは、みなさんが最近参加したディスカッションのことを、思い出してみてください。

英語でも日本語でもほかの言語でのミーティングでも結構です。あなたは積極的に参加できましたか?真意が伝わったか確認しましたか?他の参加者の発言について、その意味を理解するだけでなく、彼らが感じていたことも理解できましたか? 

 

自らの弱みを知り行動を起こすことが大切

ディスカッションで主導権を握るためには、ぶっつけ本番でも会話をリードできる柔軟性、多種多様な考え方やコミュニケーションを受け入れられる順応性、どのような状況にも対応できる機敏性が求められます。

 

ここで私たちが行っている「ディスカッションスキルズチャレンジ(※2)」というプログラムを例にとってお話ししましょう。このプログラムは1日の集中型研修で、柔軟性、順応性、機敏性など英語のミーティングで求められる力がつくように設計されています。

 

このプログラムの受講者は「トレーナー」と呼ばれる講師から、ボキャブラリー、文法、適切な語法について情報をもらい、次にそれらを使って、ロールプレイ形式の練習を行います。それと並行して、トレーナーは受講者と自然な会話をし、彼らのディスカッションマネジメントスキルを探ります。これは、各受講生が抱えるコミュニケーションの「壁」を見つけ、その効果的な改善策の見本を示すためです。スキルはあるのに自信がないのか、わからない部分の確認を避けているのか、ほかの人の発言に割り込むことを気まずく感じているのか。その見極めが終わると、トレーナーはこうした弱みに立ち向かわざるを得ない状況に受講者を追い込むのです。

 

受講者が行き詰っても、トレーナーはそこから抜け出す方法をはっきりとは教えず、代わりに適切な「見本」を巧みに示します。すると受講者はトレーナーの見本からヒントを得て、その状況から抜け出そうと奮闘するんです。これこそが私たちがプログラムを通じて目指すこと、つまり受講者自信が自分の置かれた状況を探り、コミュニケーションを妨げている障害を発見し、行動を起こすということです。このような状況を経験することにより、受講者は英語のディスカッションに必要なスキルを身に付けることができるのです。

 

※2 ディスカッションスキルズチャレンジについての詳細資料をご希望の方は
「ディスカッションスキルズチャレンジ資料希望」とご記載のうえ、
こちらからお問い合わせくださいませ。


語彙を増やさなくてもコミュニケーションの質は上がる

「ディスカッションで使える会話テクニック」について質問をいただきましたので、今日は「何かを聞き直す際に使う質問フレーズ」の効果的な言い方について、一例としてお話ししようと思います。

 

「すみません、もう一度お願いします」「それはどういう意味ですか?」といった質問は、ただ自分の知りたいことを聞くためだけではなく、自分の能力や積極性、思いやりを示すためにも使うことができます。例として、次のAさんとBさんの会話をみてみましょう。

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A: I’m afraid the budget has been exhausted.

B: What do you mean?

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この会話から、Bさんについてどのようなことが分かるでしょうか? Bさんの素早い切り返しからは、話し合われている内容をしっかり理解しようとする姿勢が伝わります。しかし同時に、Bさんは、お互いの知識の溝を埋める責任をAさんのほうに一方的にゆだねてしまっているのです。

ではここで、

B: What do you mean? 

B:Sorry Tom. Are you saying there is no money?

に言い換えるとどうでしょう?

Bさんの印象は大きく変わります。丁寧な遮り表現であるsorryを使うことで積極性を示しつつ、AさんをTomと名前で呼びかけていることで敬意も示しています。さらに、Are you saying thatと言うことで、はっきりしない内容を明確にする責任が自分にもある、責任は二人に平等にあるという認識も表明しているのです。

 

次はこんな場面を考えてみましょう。ミーティングでセールスマネージャーが営業担当者に最近の営業状況について簡潔に報告するように言ったとします。

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A: 売り上げはどうですか? 

B: 前ほど多くの人が我々の製品を求めていません、市場にはよく似た商品で価格が低い物が出回っています。さらに円高で外国のお客様が減っています。あと、製品のデザインを新しくしたほうがいいですね。少し古臭く見えます。今はあまり売れていません。

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Bさんの答えは、内容はいいのですが、ややまとまりに欠けますよね。はずせない要素は押さえつつより簡潔にまとめるならば、会話はこんな風になります。

 

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A: 売り上げはどうですか? 

B: 落ちています。 競争、為替レート、そしてデザインが原因です。

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このように、問いの答えと重要な理由がすべて簡単な一文にまとまっていると、聞き手は今後の会話の流れをなんとなく推測することができます。ここから営業担当者が続けて質問してきたら、それぞれの要素をもっと詳しく説明するといいでしょう。

 

英語のコミュニケーション力を上げるために、新しい表現のインプットはそれほど重要ではありません。必要なのは言葉の効果的な使い方を考えることと、小さな変化がどれだけ大きなパワーを持っているかに気づくことです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

日本のビジネスパーソンが、世界で渡り合っていくために、どのようにスピーキング力を向上させるのか。またどのように活発に意見を述べ、ミーティングをリードする力の育成方法の

参考になれば幸いです。

 

株式会社プロゴスでは引き続きグローバル人材育成に関するセミナーを開催しておりますので

お気軽にご参加くださいませ。

 

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